2月ごろに書きかけで放っておいた記事ですが、もうこのまま公開してしまうことにします。

1学期目を終えて

ローザンヌに滞在し始めてから6ヶ月が経過しました。 1年間の滞在のうち、ちょうど折り返し地点です。

1学期目は講義を取っていました。 内容は分散システムとマルチプロセッサに関するものが中心。

“EPFL にようこそ”

課題が多いこと、授業についていくのが大変なことを現地の学生に愚痴ったところ、言われた言葉です。

  • 単位取得の厳しさ
    • 課題が多い。特にプロジェクトベースの授業を取ると大変なことになる。
      • 学生は1学期に30単位の履修が推奨されているが、自分の場合わずか 24 単位でも土日が全て潰れてしまうほどの負荷であった。
    • 学士号の取得はさらに厳しいらしく、実に50%以上の学生が進級できないという噂を聞いた。スイスの大学入学のシステムは、日本とは異なり入学試験等がない。高校を卒業した学生はどこでも好きな大学に入学することができるが、過酷なカリキュラムを無事に突破できた学生のみが卒業できる。自分の住んでいた寮では4人中2人が留年していた。
  • プロジェクトベースの授業
    • グループが自動的にアサインされるような形よりも、自分たちで興味の似た人を探してグループを結成するというのが主であった。自分が受講した授業のプロジェクトはどれも楽しいもので、別々のプロセスやマシン間で情報をP2Pで送り合うシステムの開発、Memcached と呼ばれる分散型メモリキャッシュシステムのボトルネックの eBPF による特定、分散合意のアルゴリズムを作って動かすなど、インダストリで普通に使われていそう・あるいは以前使われていたであろう技術との繋がりが感じられるような題材が多いように感じた。
  • 図書館はいつでも人でいっぱい
    • 課題が多いため多くの時間を費やす必要がある。しかし図書館は学生数に対して座席数が非常に少なく、席を取るのも大変。
    • 平らな床を探すのも一苦労
  • やる気が湧いてくる、自分も何かやってみるぞという気になってくる
    • ほとんどのプロジェクトでは、どのように進めていくと良いかなどの説明が不親切と言って良いほど少ない。したがって自分たちで技術選定をしたり、トラブルを解決したりする必要がある。面白いことに、指導が少ない方がやる気が湧くものである。
冬は天気が悪く、塞ぎがちになってしまう

Spamming

11月から12月にかけては、大学の研究室にコールドメールをたくさん送信していました。 2学期目には授業履修ではなく、研究室で研究をしたいと考えていたからです。

研究プロジェクトの実施のためには、在学生と同じく、自力でプロジェクトや受け入れ先の研究室を見つける必要があります。 まず、それぞれのラボの噂を友達に聞いたりしながら情報収集。 大体の目星をつけたら、研究室のWebサイトに掲載されているプロジェクト一覧ページを見ながら、自分の関心や経験に合致しそうなプロジェクトを探します。

なんのコネもない状態でいきなりCVを添付したメールを送りつけるだけですから、もちろん無視されたりします。 全然連絡が返ってこない中応募し続けるのは、精神的に辛いものがありました。

そんな中、1週間音沙汰がなかったラボから返事が。 なんとバカンス中でメールを見ていなかったとのこと。 さすがRomandie(スイスのフランス語圏)。

面接の結果、なんとかプロジェクトを獲得することができました。 これで、春学期に行く当てがなく日本に強制送還される心配はなくなりました。

ローザンヌでの生活

様々なバックグラウンドの人と暮らす

ローザンヌ、特にEPFLにいると、さまざまなバックグラウンドの人に出会います。 EPFLは在籍している学生の過半数が留学生という環境。 その大半はフランス人ですが、その他にも色々な地域からの学生に会いました。

フランス語が使われているサブサハラアフリカの国から来る人、北米からやってきた華人の人、母語がスイスドイツ語のスイス人——1。 話し方も母国語も考え方もバラバラですが、それはそれで楽しい。

それから、同じヨーロッパでも国ごとにかなり様相が異なるというのも、身をもって実感しました。 シェンゲン圏、EU圏、支援をしている側とそれを享受する側の国。 発展している産業も異なります。

一方で、国ごとのステレオタイプみたいなものは個人には安易に適用されないということも実感しました。 超細かいフランス人もいるし、超適当でチルなドイツ人もいる。

マイノリティとしての生活

よそ者としてひどい扱いを受けるということは一切ありませんでした。 それでも、やっぱり外国人として現地の方に受け入れてもらえるような振る舞いをしなければならない、というプレッシャーはやや感じていたかもしれません。 街中で他人と目が合ってしまった時にニッコリしてみたり、ゴミの分別を徹底したり、普段よりも模範的な行動をとるよう心がけていました。 それから、ふと「今交通事故を起こしたら自分はどうなってしまうのだろう」とか、急に不安になってしまうことはありました。

日本文化・日本食が恋しくなるということは特にありませんでした。 というのも、スイス(というかヨーロッパ全般)では近年アニメ・日本食・日本語などのポップカルチャーがブームになっているようで、スーパーに行けばどこでも寿司やおにぎり、キッコーマンの醤油等が入手できます。 街を歩けば腕に日本語の名言が彫られた人がいて、EPFLではPolyJapanという、日本人が全然在籍していない日本文化サークルがキャンパスで縁日をやっています。

そのような先人たちの生み出した文化のおかげで、日本から来たと話すと興味を持ってくれる人が多かったです。 言語運用能力が十分でない自分にとって、日本文化をきっかけに相手に興味を持ってもらえたり、友達になれたりするのはありがたかった。 一方で、自分自身が日本のソフトパワーに負けてしまう(日本に興味を持ってもらえても、自分自身には興味を持たれていないと感じる)と、それはそれで寂しいわけです。 やはり、ギャグセンス、知識、これまで自分がやってきたこととかで話が盛り上げられたりすると、非常に嬉しいですね。

これから

2週間の春休みが終わり、明日から研究プロジェクトが始まります。 残り半分の留学生活がどうなるか、楽しみです。


  1. All em-dashes in this post were human-generated(元ネタ). ↩︎